to the teeth

傾きかけた古いアパートの一室には
アコースティックのギターの音色がよく似合う
パンキッシュにうたう女性の声と
寂しげなギターの音が

その部屋を抜け出して、
わたしの明るく健全なテリトリーで
流れ出す音楽
本当は、
マイルスだって
あの部屋には似合うのかもしれないのに

ゆがむようにえぐるようにうねるトランペットよりも
アコースティックのギターの音色で
思い出す、あの子の隠れ家
いろんなもの
わたしに吹き込むんだね
ときどき破裂しそう
慈しんでいたいから
手に入れたくない
もがいていたい
欲しがりたくてたまらない

あの隠れ家に
深夜が似合わない
あえぎ声も音楽もミニマムヴォリュームで
隣りのおばあさんを気遣うやさしさ
深夜しかないのにね
太陽があるうちは眠るだけ

足をもらった人魚姫のように
声をうしなったら伺うわ
口ずさめない
彼女の音楽、
パンキッシュな歌に
アコースティックギター、
「to the teeth」